高校1年秋…ライブの日取りも決まり、合宿と言いたいだけのお泊り会を計画した。
藤崎に住むメンバーの家が選ばれ、そこで僕らはバンド練習そっちのけで鍋をつつく。
彼女とどうだとか好きな娘がどうだとかそんなくだらない会話が続いて数時間…僕は急に帰りたくなりメンバーに別れを告げ自転車に乗り帰路についた。
確か…23時を過ぎた頃合い…
田舎道は暗く、とても静かだ。
JR川部駅を横目に、その線路に沿うように走る細道をいく。
すると後方、駅のホームの方向から急に何かが走って来るような音がしだす。
「パタパタパタパタパタパタパタパタパタパタっ!」
何かに追いかけられている…
誰かのいたずらかと思った。
最近近所の悪ガキが夜な夜な駅にたむろしているというような話もあったからね。
面倒だし後ろを振り返ることもなく僕は激チャリをする。
しかしその足音は僕の後方5メートルにくっついて離れない…
余談だが、バイク乗りの友達に並走してもらって僕が自転車で何キロ出せるかはかってもらったことがあるが…ママチャリで50キロくらいだった。
いっこうに引き離せなくて焦り出した頃、道なりに線路を横切ったところでその足音はパタリと止んだ。
何だったのか…
それにしても…激チャリについてくるなんて、やるやん
数日後僕がデットヒートを繰り広げた駅の道付近で、警察が何かを探しているのを見た。
週刊誌によるとこんな情報も。
ある病院から年老いた男性が抜け出して、川部駅で身投げをし電車に轢かれて亡くなったらしい。
男性が履いていた病院のスリッパですぐにわかったらしいと。
警察が探していたのは見つかっていなかった男性の頭部だったらしいが…後に電車の間から見つかったらしい。